HISTORY 競技
全米女子プロゴルフ選手権 日本選手の記録
1970(昭和45)年、
樋口久子と佐々木マサ子の2人が初出場
日本の女子選手が初めてメジャーの舞台に立ったのは1970(昭和45)年の全米女子プロゴルフ選手権(以下全米女子プロと表記)である。出場したのは樋口久子と佐々木マサ子の2人だった。
女子プロゴルファー1期生の2人はプロになって4年目。まだ国内での試合数がわずかだったこともあり、この年の春から戦いの場を求めて米女子ツアーに挑んでいた。その一環で6月の全米女子プロに出場したのである。結果は樋口19位、佐々木24位だった。
樋口は翌1971(昭和46)年、2回目の出場にして10位に入る。これが男子を含めてメジャーにおける日本選手初のトップ10入りだ。
1972(昭和47)年には初出場の山崎小夜子が第1ラウンドを1オーバーパー、74にまとめ7人が並んだ首位に名を連ねる。日本選手がメジャーで首位になるのは男女を通じて初めてのことだった。山崎は第3ラウンド終了時で1打差の2位と絶好の位置につけていたが最終ラウンドは84と崩れて16位に終わっている。
翌1973(昭和48)年、今度は樋口がメジャー制覇に近づいた。第1、第2ラウンドともに2アンダーパー、71をマークして4打差の首位に立つ。第3ラウンドは75と苦戦したが通算2アンダーパーで3人の首位グループに踏みとどまった。だが、当時まだ米女子ツアーで優勝経験のなかった樋口は最終ラウンドで出だしからダブルボギーとつまずいて後退。このラウンドは76で通算1オーバーパーの6位に甘んじた。

1977(昭和52)年、全米女子プロ優勝祝賀会で
挨拶する樋口久子
1977(昭和52)年、樋口久子が
日本選手初のメジャー制覇
この悔しさを最高の形で晴らしたのが4年後の1977(昭和52)年だ。前年、米女子ツアー初勝利を挙げて彼の地でも確固たる地位を築いていた樋口はジュディ・ランキン(米国)、パット・ブラドリー(米国)と首位に並んで最終ラウンドを迎えた。混戦の中、樋口は13番から3連続バーディを奪って抜け出し、ブラドリーら2位グループに3打差をつけて頂点に立った。日本選手初のメジャー制覇。日本のゴルフ史に金字塔を打ち立てた。
米女子ツアー日本選手最多の17勝を挙げた岡本綾子が初めて全米女子プロでプレーしたのは1983(昭和58)年だった。翌1984(昭和59)年からは7位、5位、3位、3位、3位、2位、9位、2位と8年連続でひとケタ順位を記録するが、優勝には届かなかった。1989(平成1)年には1打差首位で最終日に入るがナンシー・ロペス(米国)に逆転されて3打差2位。1991(平成3)年は首位タイで最終ラウンドに入り、最終組を共にしたブラドリー、メグ・マローン(米国)と首位に並んで最終ホールへ。3人ともバーディパットに臨んだがマローンだけが決めて1打差で涙を飲んだ。
日本選手最多14回の出場を記録している小林浩美は5位以内に2回入った。最初は1994(平成6)年。最終ラウンドで67をマークし、10位から3位に順位を上げて終了している。2回目は1996(平成8)年。1打差2位で迎えた最終ラウンド、強風で各選手が苦しむ中、粘って一時首位に並ぶ。ただ、最後は突き放されて3打差5位に終わった。
最年少出場、18ホール最少ストロークなど、全米女子プロにおいて数々の記録を持つ畑岡奈紗。写真は2021(令和3)年出場時のもの
2025(令和7)年までの日本選手の成績は
優勝1回、2位6回、3位7回、10位以内31回
2006(平成18)年にはこの年から米女子ツアーを拠点にした宮里藍が初出場。8位で迎えた第3ラウンドで69を出してパット・ハースト(米国)と並ぶ首位に浮上した。最終ラウンドでは終始優勝争いに加わっていたが、朴セリ(韓国)とカリー・ウェブ(オーストラリア)のプレーオフにわずか1打及ばずの3位だった。宮里は2010(平成22)年に第1ラウンド97位と出遅れながら、その後追い上げて2006年と並ぶ3位に入っている。2012(平成24)年には宮里美香が奮闘。最終ラウンドで69をマークして2打差の2位に食い込んだ。
米女子ツアーで9勝を挙げた宮里藍が2017(平成29)年で第一線から退くと、翌2018(平成30)年から新世代が台頭。前週、19歳の日本選手歴代最年少で米女子ツアー初優勝を飾った畑岡奈紗がその勢いを見せつける。9打差23位で迎えた最終ラウンドで2イーグル・5バーディ・1ボギーの64を叩き出して首位を捕えたのだ。パク・ソンヒョン、ユ・ソヨン(ともに韓国)とのプレーオフは1ホール目で脱落したが、その後に続く日本勢大躍進の口火を切った一戦となった。
2023(令和5)年にはメジャー2勝目を目指す笹生優花が8位で出た最終ラウンドで66と猛追。通算7アンダーパーの首位タイでホールアウトした。その後、首位に並んでいたイン・ルオニン(中国)が18番でバーディを奪ったため1打差で優勝は逃したが見事なチャージだった。
続く2024(令和6)年は山下美夢有が第3ラウンドを終えて2打差2位。最終ラウンドは最終組で頂点を狙ったが優勝したエイミー・ヤン(韓国)に3打及ばずの2位となった。この年は渋野日向子と西郷真央が7位となり、大会史上初めて10位以内に3人の日本選手が入った。
2025(令和7)年までで日本選手はのべ187人がプレー。優勝1回、2位6回、3位7回、10位以内31回の成績を残している。
文/宮井善一
全米女子プロゴルフ選手権日本選手各種記録
| 項目 | 記録 | 選手名等 |
|---|---|---|
| 最多出場回数 | 14回 | 小林浩美 |
| 最多第3ラウンド進出回数 | 12回 | 岡本綾子 |
| 最多10位以内回数 | 8回 | 岡本綾子 |
| 最高成績 | 優勝 | 樋口久子(1977年) |
| 18ホール最少ストローク | 64(-7) | 岡本綾子(1991年2R) |
| 64(-8) | 畑岡奈紗(2018年4R) | |
| 64(-6) | 畑岡奈紗(2020年4R) | |
| 72ホール最少ストローク | 273(-7) | 畑岡奈紗(2020年) |
| 72ホール最多アンダーパー | -11(277) | 岡本綾子(1989年) |
| 最年長出場 | 44歳39日 | 岡本綾子(1995年) |
| 最年少出場 | 18歳167日 | 畑岡奈紗(2017年) |
| 大会別最多出場人数 | 15人 | 2025年 |
| 大会別最多第3ラウンド進出人数 | 8人 | 2024、2025年 |
| 大会別最多10位以内人数 | 3人 | 2024年 |
| プレーオフ進出者 | 畑岡奈紗(2018年)負 |
参考文献
日本ゴルフ殿堂ウェブサイト『海外メジャー日本人選手成績』
『GOLF HISTORY of JAPAN Vol.2』(日本プロゴルフ殿堂)
『GOLF HISTORY of JAPAN Vol.3』(日本ゴルフ殿堂)
LPGA Tour Online Media Center
『スポーツニッポン』1996年5月14日付
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