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日本女子プロゴルフ選手権大会

1968年、初めての本格的な女子プロト-ナメント
日本女子プロゴルフ選手権が始まる

 日本プロゴルフ協会が女子部を設置して初めて女子のプロテストを実施したのが1967(昭和42)年のことだった。樋口久子ら26人が合格して、日本にも正式に女子プロゴルファーが誕生した。

 女子プロゴルファーが誕生すれば次は女子プロトーナメントの創設である。翌1968(昭和43)年7月、初めての本格的な女子プロトーナメントとして第1回日本女子プロゴルフ選手権大会が行われた。会場は静岡県の天城カントリークラブ(現・フジ天城ゴルフ倶楽部)。7月17、18日の2日間、1日27ホールをプレーする計54ホール競技で樋口が初代女王に輝いた。

 当時、天城カントリークラブには女子プロゴルファー誕生に大きな役割を果たした二瓶綾子が所属しており、その縁で第1回大会の開催を引き受けてくれたという。二瓶は第1回大会では樋口に次いで2位に入っている。

 第2回大会から第6回大会までは愛知県の貞宝カントリークラブが会場となる。1972(昭和47)年の第5回大会からは1日18ホールの3日間競技へと変更された。

 初代女王の樋口は第7回大会まで勝ち続ける。第6回大会では10打差、第7回大会では9打差と圧倒的な強さで勝利を重ねていた。

 

第1回の優勝者、樋口久子

 

“7”で止まった樋口の連勝記録 

  樋口の連覇を「7」で止めたのは女子プロ2期生の山崎小夜子。1975(昭和50)年の第8回大会で大迫たつ子の追い上げを1打抑えて大会初優勝を飾った。樋口は3打差の3位に終わっている。

 連覇が止まった樋口だったが、翌1976(昭和51)年にすかさず頂点を奪回。翌1977(昭和52)年にも勝って大会歴代最多の9勝を挙げている。歴代2位は大迫の4勝である。

 1979(昭和54)年には岡本綾子が205ストローク、17アンダーという54ホール競技時代の大会記録で大会初制覇を達成。岡本は72ホール競技へと変更された1982(昭和57)年にも優勝するなど、計3勝をマークした。

 1990年代には塩谷育代、服部道子、福嶋晃子といった賞金女王にも輝いた実力者が歴代女王に名を連ねる。

 2002(平成14)年に韓国の具玉姫が大会最年長の46歳で優勝。2003(平成15)年にはこの年に女子ツアー記録の年間10勝を挙げる不動裕理が公式競技(当時は日本女子プロゴルフ選手権大会、日本女子オープンゴルフ選手権競技、JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップの3大会。現在はワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップが加わって4大会)初優勝を飾った。

  2006(平成18)年には、この年から米女子ツアーに拠点を移していた21歳の宮里藍が一時帰国して参戦し、大会初優勝。第1回大会で樋口がマークしていた22歳の大会最年少優勝記録を塗り替えた。大会最年少優勝はその後、2014(平成26)年に鈴木愛(20歳128日)、2022(令和4)年に川﨑春花(19歳133日)が更新している。

  第50回大会の節目を迎えた2017(平成29)年には賞金総額を2億円に増額。45万円だった第1回大会の444倍にまで成長した。

 

文/宮井善一

 

参考文献

一般財団法人日本女子プロゴルフ協会『50年の歩み』2018年

 

 

日本女子プロゴルフ選手権大会歴代優勝者一覧

開催年 優勝者 Score 開催コース Yards Par
1968 樋口 久子 222(+3) 天城CC 6230 73
1969 樋口 久子 225(+3) 貞宝CC 6575 74
1970 樋口 久子 227(+5) 貞宝CC 6575 74
1971 樋口 久子 228(+6) 貞宝CC 6575 74
1972 樋口 久子 225(+3) 貞宝CC 6575 74
1973 樋口 久子 218(-4) 貞宝CC 6575 74
1974 樋口 久子 220(+4) 久山CC 6110 72
1975 山崎 小夜子 223(+1) PLCC 6325 74
1976 樋口 久子 222(0) PLCC 6278 74
1977 樋口 久子 218(-4) PLCC 6278 74
1978 森口 祐子 215(-7) PLCC 6278 74
1979 岡本 綾子 205(-17) PLCC 6278 74
1980 大迫 たつ子 212(-4) 蒲生GC 6089 72
1981 ☆鈴木 美重子 213(-3) 五井CC 5959 72
1982 岡本 綾子 283(-5) 高岡CC 6320 72
1983 ☆大迫 たつ子 288(0) 蒲生GC 5886 72
1984 黄 玥珡 285(-3) 信州伊那国際GC 6341 72
1985 涂 阿玉 284(-4) 烏山城CC 6293 72
1986 ☆生駒 佳与子 280(-8) ABCGC 6194 72
1987 ☆永田 富佐子 281(-7) あさひヶ丘CC 6225 72
1988 大迫 たつ子 281(-7) ABCGC 6305 72
1989 谷 福美 276(-12) 大金GC 6243 72
1990 岡本 綾子 282(-6) 広陵CC 6250 72
1991 大迫 たつ子 213(-3) 旭国際東條CC 6509 72
1992 具 玉姫 285(-3) 平川CC 6505 72
1993 原田 香里 284(-4) 旭国際浜村温泉GC 6428 72
1994 日吉 久美子 285(-3) 穂高CC 6472 72
1995 高村 亜紀 282(-6) ザ・クラシックGC 6463 72
1996 塩谷 育代 283(-5) 長岡CC 6427 72
1997 福嶋 晃子 283(-9) 富士C塩河C 6532 73
1998 服部 道子 290(+2) 美浦GC 6550 72
1999 城戸 富貴 281(-7) 琵琶湖CC 6500 72
2000 ☆高村 亜紀 287(-1) リベラルヒルズGC 6409 72
2001 日吉 久美子 282(-6) ロペC 6523 72
2002 具 玉姫 283(-5) 太平洋C六甲C 6480 72
2003 不動 裕理 277(-11) 太平洋C&A江南C 6487 72
2004 肥後 かおり 281(-7) 太平洋C&A益子C 6537 72
2005 不動 裕理 278(-10) 名神八日市CC 6509 72
2006 宮里 藍 282(-6) ニドムクラシックCニスパC 6526 72
2007 飯島 茜 274(-14) リージャスクレストGCグランドC 6560 72
2008 辛 炫周 283(-5) 片山津GC白山C 6545 72
2009 諸見里 しのぶ 282(-6) 岐阜関CC東C 6632 72
2010 藤田 幸希 275(-13) グランデージGC 6601 72
2011 三塚 優子 282(-6) キングフィールズGC 6700 72
2012 有村 智恵 275(-13) タラオCC西C 6670 72
2013 ☆イ ボミ 205(-11) 恵庭CC 6682 72
2014 鈴木 愛 283(-5) 美奈木GC 6645 72
2015 テレサ・ルー 281(-7) パサージュ琴海アイランドGC 6735 72
2016 鈴木 愛 289(+1) 登別CC 6750 72
2017 李 知姫 279(-5) 安比高原GC 6640 71
2018 申 ジエ 272(-16) 小杉CC 6605 72
2019 畑岡 奈紗 270(-18) チェリーヒルズGC 6425 72
2020 永峰 咲希 276(-12) JFE瀬戸内海GC 6640 72
2021 稲見 萌寧 269(-19) 静ヒルズCC 6680 72
2022 川﨑 春花 272(-16) 城陽CC 6555 72
2023 神谷 そら 276(-12) パサージュ琴海アイランドGC 6755 72
2024 竹田 麗央 269(-19) かねひで喜瀬CC 6670 72

☆はプレーオフ 

 

競技方式の変遷

1968~1971年は1日27ホールの2日間合計54ホールストロークプレー

1972~1981年は3日間の54ホールストロークプレー

1982年以降は4日間の72ホールストロークプレー(1991、2013年は悪天候のため54ホールに短縮)

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